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edited by TEA & TREATS
14 Sep | 2014

Welsh Cake

ウェルシュケーキは、イギリス・ウェールズ地方を代表するお菓子。型抜きした生地をグリドルと呼ばれる鉄板で焼く、とっても素朴なおやつです。

ウェルシュケーキ

ウェルシュケーキの故郷、ウェールズを訪れたのは一度だけ。イギリス旅行中、どうしても観たいフットボールの試合のために、カーディフまで足を伸ばして一泊しました。イギリスの一地方とはいえ、街はケルト色が濃く、エキゾチックな趣。観光の時間はほとんどありませんでしたが、街の中心地にあるカーディフ・マーケットを散策しました。

広いアーケード内にあるカーディフ・マーケットは、月曜から土曜まで毎日オープン。パン屋さん、チーズ屋さん、魚やさん、肉屋さん……、ウェールズのおいしいものが一堂に集まっているだけでなく、雑貨やおみやげもあって、ショッピングセンターのようでした。

ウェルシュケーキ

旅行者でも気軽に買い物できるのは、やっぱりパン屋さんやお菓子屋さん。粉の香りいっぱいのスタンドには、ウェルシュケーキがむき出しのまま大胆に積み重ねられていて、なかなかの迫力でした。さっそく2枚買い、袋から出して食べ歩き。ちょっとぼそぼそとしていましたが、スタンドで買った紅茶とは抜群の相性で、初めての土地をひとりで歩く心細さを一瞬忘れさせてくれました。

ロンドン滞在時も、スーパーで売られている袋入りのウェルシュケーキを朝ごはんによく買います。スコーンとビスケットのあいだのような食感で、甘過ぎず、粉とカレンツレーズンの素朴な風味がミルクティーにぴったり。インパクトはないけれど、じわりと染みるやさしい味で、起き抜けのぼんやりした頭にはちょうどいいのです。

ウェルシュケーキ

ウェルシュケーキは本来、グリドルと呼ばれる鉄板で焼きますが、日本では手に入りにくいので、鉄のフライパンかテフロン加工のフライパンで代用します。底面がフラットなものをお使いください。慣れないうちは、扱いやすいテフロン加工がおすすめです。

焼き方は、ホットケーキと同じ要領。型抜きした生地をフライパンにのせて、片面に焼き色がついたら裏返します。両面焼けたら、熱いうちにグラニュー糖をまぶせばできあがり。途中、火を弱めたり、フライパンを火から外して濡れぶきんにのせるなどして、温度を調節してください。数枚試すうちにコツを覚えて、スムーズに焼けるようになります。ホットプレートを使うと、よりつくりやすいかも知れません。

ウェルシュケーキ

できたてでも冷めてもおいしく、密閉容器で保存すれば2〜3日は持ちます。温め直してバターを塗るのが本式ですが、そのままでも十分おいしいレシピです。

秋風が吹きはじめ、ようやく温かいミルクティーの似合う季節になりました。夏のあいだ焼き菓子から遠ざかっていた人も、素朴なウェルシュケーキで、粉とバターの滋味深い味わいを思い出してみませんか?

Recipe

作り方
  1. 粉とスパイスは合わせて振るっておく。バター、ラードは5ミリくらいにカットして、冷凍庫で30分ほど冷やす。
  2. 大きめのボウルにふるった粉と塩を入れ、冷やしたバターとラードを加えて、粉にすり込むように混ぜる。最初はカードを使って切り混ぜ、残った粒は指先を使って手早く。
  3. バターの粒がなくなり、さらさらの状態になったら、きび砂糖、カレンツレーズンを順に加えて混ぜる。卵と牛乳を合わせて加え、粉けがなくなるまで混ぜる。
  4. 台に打ち粉をし、3の生地を厚さ5〜6ミリにのばして、直径6cmの菊型で抜く。(生地が扱いにくい場合は、ラップではさんでのばしてもよい)。
  5. 底面が平らなテフロン加工のフライパンを熱し、油をひかずに型抜きした生地をのせ、片面に焼き色がついたら裏返し、両面が焼けたら熱いうちにグラニュー糖をまぶす。 (鉄のフライパンで焼く場合は、油分がよくなじんで使い慣れたものを使うこと。)
材料(約30枚分)

中力粉 145g、薄力粉 135g(または薄力粉のみ280g)、ベーキングパウダー 9g、ミックススパイス小さじ 1/4、塩ひとつまみ、バター 100g、製菓用ラード 40g、きび砂糖 100g、カレンツレーズン 60g、卵 1個、牛乳 大さじ1、グラニュー糖 適宜

*ミックススパイスは、イギリスのお菓子やパンによく使われるスパイスミックスのこと。なければ、シナモン2:ナツメグ1:ジンジャー1の割合で合わせて代用。